INTERVIEW
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数字で世界をつなぐ
ゲートウェイ

Hideo Yamashita
Global Gateway Advisors 代表取締役
日本国公認会計士
Career Summary

キャリアサマリー

4歳から剣道をしており、高校時代にインターハイに出場し、人生において1つのことを突き詰めることが大事だと思い、手に職をつけたくて大学進学と同時に公認会計士を志しました。

2008年度に公認会計士試験に合格し、2008年に有限責任 あずさ監査法人へ入所。 国際金融監査部にて、金融機関向けのIFRS導入支援、USGAAP・金商法監査、内部統制監査などを幅広く経験しました。 特にクロスボーダーM&Aにおける監査対応を通じて、国際的な業務に興味を持ちました。同時期に米国公認会計士試験にも合格しました。

自身の専門性を元に、日本企業の国際展開を支援するためには、まず自らが現地側で根を張り、企業の目となり、手となり、足となることが必要だと考え、2016年よりグローバルパートナーズグループに入社し、海外拠点である、Global Gateway Advisors Pte. Ltd.の立ち上げを行いました。 現在はシンガポールを拠点に、進出時の市場調査や戦略策定といった、Strategy & Execution業務、クロスボーダーM&Aを中心としたCorporate Finance業務、会計・税務・人事を中心としたCorporate Management業務、日系唯一のシンガポール政府よりライセンスを受けた学歴認証業務の統括を行い、多国籍チームから構成されるコンサルタントの管理をしています。

「多様な人材による共創の力を、社会を動かす経済価値へ」——自らの強みを磨き、新たな領域に挑戦し続ける。その積み重ねが、総合的な海外キャリアを育てます。

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監査法人における経験および、その後のキャリア選択のきっかけ

有限責任 あずさ監査法人では国際金融監査部に所属し、金融機関向けのIFRS導入支援、USGAAP・金商法監査、 内部統制監査などに従事しました。クロスボーダーM&Aにおける監査対応を通じて、国際的な経験を積みました。

当時の担当先がニューヨーク証券取引所に上場している日本企業であり、最先端の会計・監査実務と、 PCAOBやKPMG USから日々要求される高度なガイダンスを実務に落とし込む作業を行っていました。 クライアントがクロスボーダーM&Aを積極的に行っていたこともあり、複数の会計基準を理解しつつ、 連結財務諸表の妥当性を検証する実務を数多く経験しました。

被買収会社の所在国、クライアントの本社がある日本、上場している米国という3つの視点を同時に持ち、 各国のメンバーファームと連携しながら、親会社監査チームとしてインストラクションを発信し、 監査の適正性を確保する経験ができたことは大きな財産でした。

監査法人でのキャリアを積み重ねる中で米国公認会計士試験にも合格し、TOEICも900点程度取得しました。 取引が起こった後の現象を捉える監査よりも、その取引自体が起こる前段階からクライアントを支援する形で 自身の専門性を伸ばしたいという思いから、成長性の高い国で現地に根を張る道を選択しました。 期間を決めずに可能性を最大限模索したいと考え、グローバルパートナーズグループに入社し、 シンガポール拠点の立ち上げを担いました。

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在はGlobal Gateway Advisors Pte. Ltd.において、シンガポールを拠点にAPAC、米国、欧州、アフリカでの 日本企業の海外展開を支援しています。

支援内容は、進出時の市場調査や戦略策定(Strategy & Execution)、クロスボーダーM&Aを中心としたCorporate Finance、 会計・税務・人事を中心としたCorporate Management、そして学歴認証業務の統括と多岐にわたります。 加えて現地代表として、多国籍チームのマネジメントも担っています。

2025年3月にはベトナム拠点、2026年1月にはマレーシア拠点も開設し、日本・シンガポール・マレーシア・ベトナムの4か国を巡回。 さらに案件支援でタイ、フィリピン、インドネシア、オーストラリア、バングラデシュなど多様な国へ出張しています。

シンガポールは多国籍国家であり、統括拠点として日系・外資系企業が集積しています。 その結果、業務の半分以上はシンガポール外の案件で、これまで27か国でのプロジェクト支援実績があります。

シンガポールを拠点として27か国でのプロジェクト支援実績——多国籍環境の中で自身の価値を最大化する機会が豊富。

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あなた独自の強みと、今の仕事との関係性

私の強みは、多様性の中でのチームビルディングです。私が思うグローバルパートナーズグループの価値の源泉は多様性です。 出身業界、性別、国籍、年齢、言語などに関わらず、一人ひとりの個性が価値を生み出します。

Global Gateway Advisorsは、クライアントが現地で成果を上げるまで伴走し、私たち自身が現地に根を張り、 企業の目・手・足として動き続けることが求められます。そのため、 ①課題に向き合う解決力、②対象地の商慣習や規制を反映した助言、③日本企業の進め方に沿う納得感、 の3つが共存した成果物を届けられるよう、多国籍チームを組成し磨き続けています。

立ち上げ当初は文化的な違いや語学力に悩むこともありましたが、相互のリスペクトを前提に時間をかけて議論し、 最後はお互いが納得する結論に到達する——この反復で、自分なりのやり方を築いてきました。

多様性の中でのチームビルディングとマネジメント——「できたこと/できなかったこと」の振り返りと反復が、稀有な専門性へつながる。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

クロスボーダーM&Aのクロージング、事業提携のセレモニー、大型の市場調査プロジェクトの最終報告といった瞬間は、いつも達成感があります。 監査法人時代の達成感と大きく違うのは、現在は自身の成果がクライアントの成果に直結していることです。 事後的にチェックする立場より、意思決定と実行のプロセスに深く関わることで、心が動く幅が大きいと感じます。

その中でも特に記憶に残っているのは、学歴認証に関するライセンスをシンガポール政府より与えられた時です。 2023年9月から、就労ビザ取得時の学歴確認を第三者機関が証明する制度が始まり、政府認定の第三者認証機関が12社選定されましたが、 グローバルパートナーズグループは日系で唯一ライセンスを得ました。

前例がない中、政府や他の認証機関と何度もカンファレンスを重ね、日本の慣習を説明しつつ国際間の調整を進めました。 答えが決まっていない状況で立場を主張し、合意形成しながら前進させる経験は、想像以上に貴重で、自信にもつながりました。

そのとき思い出したのは、監査法人時代にパートナーから受けた「まず事実をありのまま把握せよ。その正確な事実認識に基づき、あるべきへ向かう道筋を立てよ」という助言です。

日本代表として国際間の調整——監査法人と海外の経験を活かし、自らを新たなステージに引き上げる機会がそこにはある。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだことと、乗り越え方

監査法人での経験は多くの学びを与えてくれましたが、同時に考えさせられる場面もありました。 特に印象に残っているのは、真剣に向き合えば向き合うほど、クライアントにとって負担に感じられてしまうことがある、という監査ならではの関係性です。

正しいことを積み重ねているはずなのに、相手の緊張感が高まっていくのを感じることもあり、 次第に「自分はどんな立場で、どんな価値を届けたいのだろう」と仕事の在り方そのものを考えるようになりました。

悩んだ末に出した答えは、良し悪しではなく「向き不向き」の問題でした。 監査の枠組みの中で役割を果たすことも大切ですが、自分自身は、もう少し近い距離でクライアントと同じ方向を向き、 前向きな変化を支えたい——そう思うようになったのです。

そこで選んだのがアドバイザリーというフィールドでした。立場を変えたことで、課題に一緒に向き合い、 挑戦や成長を共有できる関係性にやりがいを感じるようになりました。 振り返れば監査法人時代の経験があったからこそ、自分の価値観や働き方を見つめ直すことができ、 今のキャリア選択や考え方の土台になっていると感じています。

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人生の目的と、公認会計士という資格

私が大切にしている人生の軸は、「国や制度の違いに縛られず、人と組織が前向きに挑戦できる環境を整えること」です。 挑戦そのものが特別なものではなく、選択肢の一つとして自然に存在する社会をつくりたいと考えています。

その考えを形にするうえで、公認会計士という資格は非常に重要な意味を持っています。 会計・財務に関する専門性は国境を越えて通用し、日本の公認会計士は海外でも一定の信頼を得ています。 この「共通言語」を持っていることが、異なる文化やビジネス慣行をつなぐ際の大きな支えになります。

私は、公認会計士としての知見と経験を活かし、海外に挑戦することが特別な決断ではなく 「現実的な選択肢」として成立する場を広げていきたいと考えています。 制度や言語、慣習の違いを理解し、乗り越えるための導線を整える——その役割を担うことが使命だと感じています。

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これから成し遂げたい事、将来の夢

私がこれから実現したいのは、企業にとっても個人にとっても、「多様性の中で働くことがより良い成果を生む社会を創る」ことです。

そのために重要だと考えているのが拠点の拡充です。現地で相談できる場所や実務を支える体制があることで、海外は「遠い場所」ではなくなります。 企業はゼロから手探りで進める必要が減り、個人も孤立せず新しい挑戦に向き合えます。

また、挑戦は一度きりの大きな決断である必要はありません。短期間のプロジェクト参加など、段階的に経験を積める選択肢が複数あれば、 最初の一歩は踏み出しやすくなります。拠点が複数あることで、こうした柔軟な関わり方も実現しやすくなります。

私たちが求めるのは資格や肩書きではなく「行動力」です。“いつか”を“現実”に変える力。 それはやがて、現地で得た一次情報を元に、クライアントの公平かつ持続可能な意思決定を最前線で導く力になります。 その行動力を専門性へと磨き上げる環境を、グローバルパートナーズグループでは創り続けたいと考えています。 ともに企業のグローバルな意思決定を支援し、専門性を磨き上げるキャリアを歩みましょう。